腰椎分離すべり症はご自身が原因を知る事で早く良くなります

腰椎分離・すべり症

1.病態について

腰をさわると中央にさわる骨がありますが、これを棘突起といいます。これを中心に輪のようになっていますが、この棘突起の左右1～2㎝のところが骨折して離れてしまうのが「腰椎分離症」といいます。
分離症があり、上下の腰椎同士の支えがなくなり腰椎が前後に数㎜ずれてしまうものが「分離すべり症」といいます。すべり症は腰椎同士がずれた状態をいいますが、分離がなく老化が原因でずれたものを「変性すべり症」といいます。
分離すべり症は慢性的な腰痛と下肢痛が多く、ひどいすべり症以外ではあまり排尿・排便障害は起きずらいです。変性すべり症も同様で脊柱管が狭くなるため神経の圧迫が主症状になります。歩行によって下肢痛やシビレ感が出たり、休むと快復する間欠性跛行や、会陰部のシビレ感や、排尿・排便障害も出ることがあります。

2.原因は何か

分離症は、先天性のものは生まれつきのもので、分離以外にも椎体や椎弓の異常が多く、ひどいすべり症を生じることがあります。
後天性の多くは中学生くらいのころまでにスポーツなどで繰り返し負荷がかかったために、疲労骨折を起こしたものと考えられています。スポーツは原因のひとつであり、体質的な要素もあります。
分離症・分離すべり症は第4、5腰椎によくみられます。

3.症状の現れ方

症状は腰痛がほとんどです。青少年のスポーツ活動で腰痛が出る場合は、分離症を疑ってみることも必要です。成人の場合、同じ姿勢を続けたり、長時間の立ち仕事や重労働のあとに痛みが強くなり、鈍く重い痛みで、後屈痛があり痛みが強くなります。脚の痛みやシビレが出ることが多いです。

4.検査と診断

レントゲン検査を行えば、腰椎分離症も腰椎すべり症も確定します。分離やすべりがあっても、症状が出るとは限らないので、神経圧迫には注意を要します。そのほかにCTやMRIがありますが、これらは主に手術を前提に神経の圧迫の状態を調べたり、分離部を明瞭に観察するために行うことが多くなっています。

5.治療の方法

青少年の腰椎分離症では、急性期であれば６カ月ほどのコルセット着用で分離部の骨癒合が期待できます。（高校生まで）成人の分離症では、仕事中などにコルセットをすることによって、腰痛の予防効果があります。
薬物療法では、痛みに対して鎮痛剤や筋弛緩剤などを用います。腰部脊柱管狭窄症の症状に対しては、神経の血流を良くする薬が用いられます。そのほかの保存療法には、ほかの脊椎疾患と同様に腰痛に対しての理学療法や、下肢痛に対しての神経ブロック注射などがあります。
これらの保存療法でも症状がよくならない場合は手術が選択肢に入ってきます。
腰椎分離症・分離すべり症では、椎弓の骨折が原因なので、通常、椎体の固定術が行われます。固定術は上下の腰椎同士を固定して動きをとめる方法で、最近ではチタン合金の固定器具が補助的に用いられるようになっています。特殊な例として椎間板変性のない青少年の分離に対して、分離部をつなぐ分離部修復術と呼ばれる方法も行われつつあります。
変性すべり症（老化による）に対しては、骨を削って神経の圧迫をとる場合と固定術を併用する場合があります。
最近では手術の技術進歩により、術後の安静期間も以前より、格段に短くなってきています。

6.病気に気がついたらどうする

腰椎分離症・すべり症は、たまたま撮られたX線検査で見つかる場合が多く、症状が軽度であれば保存療法で大丈夫です。保存療法で改善が得られなかったり神経症状がひどくなった場合のみが、手術の適応です。
下肢のシビレや痛みがある場合は、手術の時期が遅すぎると改善が得られにくい場合があり、早めのタイミングが重要です。

7.初診に適した検査、施術

整形外科…検査、X‐P・MRIなどで確定すると良いでしょう。
治療院…実際の施術で痛みをとり、神経の圧迫をとります。

 

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